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カートは空です
neiyou_NEISHI_Kazumi
日本🇯🇵
『感情を纏う器』 土器の時代から続く「器と人」の関係において、道具としてだけでなく器量などと形容されるように、人の能力を器の大きさとして表現してきた。そのように器には、道具としてだけでない意味を備え、日ごろ、側にあり続ける器たちにもそれを求める中で、グラデーション表現にたどり着いた。 この作品の釉薬は白く、細かな結晶がほのめく。そんなまっさらなキャンバスに色漆が美しいグラデーションに色づくとき、器の感情が表れたかのように感じる。それは色だけでなく、漆特有の滑らかさと艶からもまたそれを感じさせ、焼き物の無機物と漆の有機物が一体となったその姿には、新たな質感と情景が生まれるのである。 故に完成した作品には、情緒が宿り、眺める間、手に取る間に、いつの間にか自身と器が共鳴しているのに気づく。その感覚は空を眺める時に感じるところと通じ、おおらかな時間の流れを知覚し、今日という日の現在地を思い出す。
本作の技法は、『釉漆』(ゆうしつ)と呼び、古来存在した陶胎漆器に発想の端緒があるが、釉薬が発達する以前は焼き締めの器に漆でコートするという機能的な用具としての立ち位置が強いのに対し、すでに機能的である釉薬の上に漆を塗る本作品は表現としての漆の位置付けを強めている。またこの技法は、長い歴史の中にある漆が科学的研究も進み、より応用の利くものとなった現在だからこそ可能になったものであり、歴史と研究が組み合わさっていくことで生まれる未来の一つである。
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