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kenyu
日本🇯🇵
未だ現れぬ光を内に宿す、静かな深層の器。 黒に近い深い青の漆の中に、微細な青の粒子が内側から滲み出るように現れる。 表面には力強い彫刻の痕跡が残り、輪郭はわずかに揺らぎながら静かな緊張を保っている。 本作は本阿弥光悦の茶碗を三次元データとして解析し、その造形をもとに木地を轆轤で挽いて制作された。土ではなく木によって再構築されたこの形は、伝統の写しではなく、造形の本質を抽出し現代に置き直したものである。 銘である「潜光」は、まだ現れていない光、あるいは内側に潜み続ける気配を意味する。 三橋鎌幽は木を彫ることで存在の輪郭を立ち上げながら、漆の層によってその光を覆い隠す。彫刻の力強さは形を確定させ、漆の奥ゆかしさはその内部に余白を生む。 その結果、この茶碗は外に向かって主張するのではなく、内側へと意識を沈めるための器として成立する。 時間の経過とともに漆の艶は深まり、潜んでいた青はより鮮明に浮かび上がる。 それは外に現れる光ではなく、持ち主の時間に応答して徐々に姿を見せる光である。 本作は一点制作であり、同意匠の再制作は行われない。
鎌倉彫は鎌倉時代、禅宗文化の広がりとともに成立した木彫漆工芸である。 仏具や茶道具を背景に発展し、造形は単なる装飾ではなく、精神性を映し出すものとして位置づけられてきた。 本作は、本阿弥光悦の茶碗に見られる自由で揺らぎを持つ造形を基にしている。光悦の造形は、均整からの逸脱によって内面的な美を表現したものであり、日本の美意識に大きな転換をもたらした。本作ではその形を三次元データとして再解釈し、木という素材によって再構築することで、歴史的造形を現代へと接続している。 また「潜光」という概念は、禅における内観や、顕在化していない本質への意識と通じる。 本作は光を表に出すのではなく、内部に留めることで、見る者の意識を外界から内面へと向かわせる構造を持つ。 青根来の表現は、根来塗の層構造を踏まえながら、青という色彩によって時間の蓄積を視覚化する三橋鎌幽独自の技法である。
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