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[再現不可能]
形を持ちながら定まらない、彫刻と漆が生む思考の器。 深い青の漆の中に、柔らかな歪みを帯びた輪郭が静かに立ち上がる。 表面には流し刀痕が残り、青の粒子は光の中で揺らぎ続ける。これは単なる茶碗ではない。手に取った瞬間、存在の確かさがわずかに揺らぐ造形である。 本作は本阿弥光悦の茶碗を三次元データとして解析し、その造形をもとに木地を轆轤で挽いて制作された。土ではなく木によって再構成されたこの形は、伝統の再現ではなく、造形の本質を現代に引き直す試みである。 銘である「空華」は、存在しているように見えながら実体を持たないものを意味する。 三橋鎌幽は、木を彫ることで形を与えながら、漆の層によってその輪郭を曖昧にする。彫刻の力強さは存在を立ち上げ、漆の奥ゆかしさはそれを手放す。 その往復の中で、この茶碗は固定された形ではなく、見るたびに変化する「現れ続けるもの」として立ち上がる。 手に触れ、使い続けることで青はより鮮明に、造形はより深い陰影を帯び、時間とともに意味そのものが変化していく。 本作は一点制作であり、同意匠の再制作は行われない。
Edition No.1 / 1 (本作のみ)
¥330,000
(税込)