青根来茶椀「潜光」
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三橋鎌幽
NEXUS

青根来茶椀「潜光」

[再現不可能]

京都髙島屋美術画廊

未だ現れぬ光を内に宿す、静かな深層の器。 黒に近い深い青の漆の中に、微細な青の粒子が内側から滲み出るように現れる。 表面には力強い彫刻の痕跡が残り、輪郭はわずかに揺らぎながら静かな緊張を保っている。 本作は本阿弥光悦の茶碗を三次元データとして解析し、その造形をもとに木地を轆轤で挽いて制作された。土ではなく木によって再構築されたこの形は、伝統の写しではなく、造形の本質を抽出し現代に置き直したものである。 銘である「潜光」は、まだ現れていない光、あるいは内側に潜み続ける気配を意味する。 三橋鎌幽は木を彫ることで存在の輪郭を立ち上げながら、漆の層によってその光を覆い隠す。彫刻の力強さは形を確定させ、漆の奥ゆかしさはその内部に余白を生む。 その結果、この茶碗は外に向かって主張するのではなく、内側へと意識を沈めるための器として成立する。 時間の経過とともに漆の艶は深まり、潜んでいた青はより鮮明に浮かび上がる。 それは外に現れる光ではなく、持ち主の時間に応答して徐々に姿を見せる光である。 本作は一点制作であり、同意匠の再制作は行われない。

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